Tailscaleで安価に固定IP
月$5のVPS 1台と無料のメッシュVPNで、「必要なときだけ固定IPを経由する」ネットワークが作れます。取引先のAPIが接続元IPの許可リストで保護されている、外出先から自宅のマシンに繋ぎたい、といった場面にちょうどいい構成です。
Lightsailなら、安くサーバーを立てられる
AWS Lightsail は定額制のVPSです。最小のLinuxバンドルが月$5で、この料金に パブリックIPv4の固定IP と大きめのデータ転送枠が込み。EC2 + Elastic IP で組むより安く、転送量込みで月額が読みやすい。固定グローバルIPの入手方法として最安クラスです。
Tailscaleなら、VPNと固定IPが簡単に使える
Tailscale は WireGuard ベースのメッシュVPNサービス。各デバイスにクライアントを入れて Google や GitHub のアカウントでログインするだけで、デバイス同士が暗号化トンネルで直接つながります。
- ルーターのポート開放・DDNS・VPNサーバー構築が不要。すべてアウトバウンド接続で成立します
- 設定はWebの管理画面で完結。経路の承認もアクセス制御も、ブラウザから数クリック
- 無料プランで6ユーザー・デバイス数無制限。個人〜小規模なら十分
ここに固定IPを持つ Lightsail を1台参加させて「出口」にすると、自宅からでも外出先からでも、同じ固定IPで出ていけます。相手の許可リストに登録してもらうのは、このIPひとつだけ。
flowchart LR
subgraph tailnet["Tailnet(メッシュVPN)"]
DEV["自宅・外出先の端末"]
GW["gateway(Lightsail)<br/>固定IP"]
end
FIX["許可リスト付きの宛先"]
NET["その他のインターネット"]
DEV <--> GW
GW -->|"固定IPで送出"| FIX
DEV -.->|"VPNを通さない"| NET
特定の宛先だけ、固定IPで出られる
全通信をVPNに通すと、動画もゲームも全部クラウド経由になって遅くなります。Tailscaleは 固定IPが必要な宛先だけ を経由させられます。
- 宛先のIPが決まっているなら Subnet Router。対象IPを経路広告するだけ
- 宛先がドメイン名でIPが変わるなら App Connector。DNSから自動で追従
それ以外の通信は物理NICから直接出ていくので、普段の速度も転送量もノーダメージ。設定手順とハマりどころは 選択的ルーティングの設定 にまとめました。
ついでにSSHを Tailscale SSH に寄せれば、Lightsailのインターネットへの公開ポートをゼロにもできます(SSHポートを公開しない踏み台運用)。
HTTPSも簡単に使える
Tailnet内のホスト名には Let's Encrypt の正規証明書 を発行できます。
sudo tailscale serve --bg 3000
この1行で、自宅PCで動いている開発サーバーが https://home-pc.<tailnet>.ts.net/ で開けるように。証明書の取得も更新もTailscale任せ、ブラウザの警告なし、それでいてインターネットには非公開のまま。スマホ実機でしか確認できないHTTPS必須の機能(カメラ、PWA、パスキーなど)のチェックがグッと楽になります。Dockerコンテナ群をポート番号なしのURLでまとめる実例は 宅内サービスのHTTPS化 へ。
外出先でも、家にいる感覚
内蔵DNS(MagicDNS)のおかげで、自宅でも外出先でも同じホスト名でアクセスできます。ssh nas も https://home-pc…/ も、どこにいても同じ。デバイス間は P2P の直接トンネルなので、速度も「VPN経由」のイメージよりずっと良好です。
コスト
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| Lightsail 最小Linuxバンドル(固定IP・転送枠込み) | $5 |
| Tailscale Personalプラン(無料) | $0 |
| 合計 | $5 |
「固定IPのためだけに月額を払うのもなあ……」と思っていた人には、ちょうどいい落とし所じゃないでしょうか。深掘りしたい人向けの検索キーワード:Subnet Router / App Connector / Tailscale SSH / tailscale cert / tailscale serve